篠山紀信という巨塊 『快楽の館』 @品川原美術館 光を絵の具にした裸婦画
とにかく壇蜜がすごい。こんなにすごいと思わなかった。
被写体としての壇蜜の凄さを思い知る展示だった。
今回の展覧会は篠山紀信によるヌードの写真展。
原美術館を舞台に夜な夜な 美女が集まる夜会が開かれるという設定の元 実際に原美術館で撮影されたヌードの写真が並ぶ。
この作品のモデルの1人。
壇蜜がとにかくすごかった。
ヌードになるということは社会性を剥ぎ取られるということだ。
お金持ちか、貧しいか、どんな生まれか、政治家なのか、医師か、看護婦かなどどんな仕事をしているのか、どんなファッションが好きか、音楽の趣味のような個人の趣向など
それを脱ぎ捨ててなお 裸の壇蜜は何人もいるように見えた。
社会的なペルソナなど必要なく
複数の自分自身を見せられるのだ。余裕の笑みさえ浮かべて。それに恐れ入った。
見て貰えば分かるので記載しないが今回壇蜜だけが
他のモデルとは違う見せ方をしている
巨匠篠山紀信がそうする意味も彼女の写真を見れば分かる。 特別なんだ。
それに壇蜜はすこし普段は胴が長い印象をうけるのだけど今回の展示では全くそれを感じない。そこにも、巨匠ならではの撮影技術を感じた。
また、壁一面に女性が並ぶ大作の一枚に圧倒された。
写真は近い距離から広い範囲を取るため
広角レンズをつかえば端がゆがむし
(広角レンズの写真)
そうでなければ、広い範囲を撮影するには対象から離れて
撮影する必要があるけれど、
(遠くからとらないと全景は映せない。)
篠山紀信はカメラを横に並べて撮影することで近いけれど広い範囲の撮影を可能にしている
彼のいう彼のいう「シノラマ」の手法だ。
そんな撮影を行うことで
ボテイッチエリの春のように
近い目線で、広い構図を描く非常に絵画的な写真にを実現している
描かれる人も多く その写真を見たときの印象は大作の絵画を見たときのようだ。
ボティッチェリ 春
(一枚の中で人々の状況、人間関係 、空間を描ける大作)
それにこれだけのヌードの人を集めて好き勝手に撮影できるってことが
本来的に異常な宴だよな。
すごい人なんだ篠山紀信と思い知る
あと、オカダカズチカさんの写真も飾られてます。 ファンの方はぜひ、
展覧会のカタログも素敵で、オフショットも多い。 おすすめです。
最後に篠山紀信氏の展覧会への言葉を
美女たちの乱舞、徘徊、錯乱、歓喜、狂乱、耽溺……
あらゆる快楽がこの館でくりひろげられる。
幻蝶が舞う夢と陶酔の館。
この祝祭は初秋の夜にはじまり、歳明け、厳冬の朝に散る
たった4ヶ月余の一度だけの狂宴。
お見逃し無く。
2016年 篠山紀信
■ 篠山紀信展 快楽の館
Kishin Shinoyama , La Maison de rendez-vous
期間 :2016年9月3日[土]- 2017年1月9日[月・祝] 開館日数:103日
会場 :原美術館 東京都品川区北品川4-7-25 〒140-0001