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dailyclubselect’s diary

音楽、文学、写真のLIVEレポート

マラヤのいた夏

2017年の夏  マラヤがいた。

でも 今はもういない。

そして、 僕はマラヤが好きだった。

 

2017年7月31日 宗教法人マラヤは解散した。

正確に言えば無期限の山籠りだけれど

実質的な解散だった。

 

宗教法人マラヤは2016年4月デビューの

鎌田紘子」と「美月リカ」の音楽ユニットだ。

マラヤはデビューした時からヤバかった。

 

コンセプトからして歌手アイドルではなく

二人は教祖という設定で、ファンは信者だし。

衣装は日本を恐怖に陥れた地下鉄でテロを行なったあの教団にそっくりだった。  おまけにグッズとして『壺』を売っていた。

サブカル的というよりは尖りすぎて、

悪趣味なんじゃないかというくらいの振り切れ具合だった。

 

楽曲は加工されたボーカルのメロディが中心。それをギターロックのようなバンドサウンドや、打ち込みのビートが彩る。

 

歌詞がつくる世界観がまた印象的で、

宗教的な勧誘のように毒のある要素に

(だってタイトル「ぽわ」だぜ?)

 「ぶつぞうでぶつぞう」「これがいわゆる

鈍器のようなもの」や「朝からアサハラベイベー!」のような歌詞のワードのセンスに目を惹かれた。

そんな 露悪的なマラヤの歌詞と音楽は組み合わさって不思議と心に残った。

 

結局僕は

宗教法人マラヤ そのグループの

コンセプト、歌声、歌詞

その全てに危うさを感じたんだと思う。

 

やりすぎるんじゃないか、大怪我をするんじゃないか、消えてしまうんじゃないかって。

そのうちいくつかは当たることになるんだけど。

 

ただ、同時にその危うさに

なんとも言えない魅力を感じた。

シド・ヴィシャス」みたいだと思った。

 

彼女たちは持ち曲が6曲しかなかった。

それでも、彼女たちはデビュー当初から積極的にライブ活動を行なっていた。

 歌だけで埋まらない尺はトークをした。だからライブじゃなくて、これは集会なんだと語っていた。

 

と、集会について書くものの、解散までに僕が彼女たちの集会に行けたのは一度しかなかった。

 

仕事のどうしても忙しい時期と重なったこともあるがチケットがとれなかったからだ。ごくごく局地的だったかもしれないけれど、デビューの初期から彼女たちは間違いなく人気があった。

 

そして、唯一行けたその会を

彼女たちはこの会だけは集会じゃない。

「ライブ」だと語 った。

そして、その「ライブ」は本当に素晴らしかった。

 

解散の集会を明日に控えるその日に行われた

下北沢のライブで始めて生で見るマラヤはやっぱり危うかった。 盛り上がるまで、三回ぐらい突っかかるトーク客席に飛び込むんじゃないかくらい距離の近いあおり、PAとの連携に何かあるのか 不安定な曲の入り。

 

でも、とにかく楽しかった。

音源と違ってライブのパフォーマンスはとにかく情熱的で 最前列は泣いていた。

会場は大声援で割れんばかりだった。

 

マラヤは今年(2017年)5月に解散を発表してから

手売りでCDの販売を始めた。

先ずミニアルバム一万枚プレスして

(この時点でヤバい。〕

一日のノルマを決めて

それが売れるまで帰らないというスタイルで、

都内で何度も開催さしていた、時には大阪や名古屋、北海道にも遠征していた。

 

そして、その一万枚を彼女たちは売り切った。

流通を一切通さずに、三ヶ月で。

 

MCで鎌田さんは「一万枚を一瞬で売り切れると思ってたけど そんなことはなかった。でも、 一万枚を自分たちで手売りしたから、買ってくれた人の顔を全員見れた。こんなにたくさんの人が私たちを知ってくれているのかと驚いた」と語っていた。

 

おれはそれを聞いてムチャクチャかっこいいな!

マラヤ 最高だなと思った。

 

僕はマラヤが好きだ。

6曲しか持ち曲ないのに足らないならトークすればいいやとライブをするところや、いきなり一万枚もプレスして、まーすぐ売り切れると思っているところや、そして、その一万枚のCDを本当に売り切るところや、 

 

ムチャクチャなことをしながらものすごいスピードで走り抜けて、どこかに消えてしまったところが。

 

 ねーまるで、マラヤは

流れ星みたいじゃないか。

 

 

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